ブログBLOG

各種統計(3)お金の量を表す統計 ①マネタリーベース

2023/8/07 月曜日

こんにちは、埼玉県で独立自営の不動産鑑定士、矢口真実です。

 2013年以降通称「アベノミクス」と言われる経済政策が実行されたことは、恐らく大多数の方がご存じかと思います。

私が目にした不動産鑑定評価書の文中でも「アベノミクスによる景気回復の影響で不動産価格は上昇しており~」とお題目の様に書かれている場面を度々目にしていましたが、果たしてこのアベノミクスは日本の不動産の価格にどのような影響を与えたのか?自分なりに認識している点を統計データを交えながら数回の記事に渡ってまとめてみたいと思います。あくまで一介の不動産鑑定士の意見です。

アベノミクスは①金融緩和②財政政策③規制緩和の三つの政策を柱としています。

これらは、従来から実行されていたものですが、今迄にない大胆な規模で実行することで日本経済を活性化させることを目標としていたと個人的には認識しています。

この内、よく議論の対象となるのが①金融緩和かと思います。

 金融緩和についてはこちらに解説があります。なおこのページの解説では「緩和」だけでなく逆の行為である「引き締め」についても述べられており、金融政策という言葉で説明されています。

「金融緩和」とは➡世の中に出回っているお金の量を増やす➡金利が下がり、金回り(お金の循環)が良くなり景気活性化する。

「金融引き締め」はこの逆で➡世の中に出回っているお金の量を減らす➡金利が上がり、金回り(お金の循環)が鈍化し景気の過熱を抑制させる。

ここで言う「お金の量」で大元である中央銀行の日本銀行がその量を直接タッチすることが出来る部分が

マネタリーベースという言葉で定義されています。

マネタリーベース=①「日本銀行券発行高」+②「貨幣流通高」+③「日銀当座預金」

①と②は多分、現金?という事でいいんですよね。。(正直少しあやふやですみません)③は民間の銀行が日銀に開設している預金で「金融緩和」とはこの部分にアクセスし、この量を増やすことで、その結果として世の中全体に出回っているお金の量も増えて景気が良くなる!という発想(建前?)を根拠として行われたと認識しています。

具体的には、金融緩和、日銀当座預金の増加は銀行が保有している政府発行の「国債」などを日銀が買い取ることによってなされてきました。

以下は2005年以降のマネタリーベースの推移です。(単位:兆円)

2013年当初は131兆円程度であったマネタリーベースの額は2023年現在は651兆円台と大幅に増加しています。最近は少し頭打ちの印象はあるものの、アベノミクス以降の増加は著しく、GDPの額より大きくなっていますね。

果たしてこの金融緩和は日本経済や不動産市場にどのような影響を与えたのか?については次回以降にて考察します。