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不動産の鑑定評価って何?(4)お客様からの要望について

2022/10/22 土曜日

 こんにちは、埼玉県で独立自営の不動産鑑定士、矢口真実です。

 不動産鑑定評価の依頼を受ける時に、しばしばお客様から、「鑑定評価額を〇千万、〇億円位の評価書を作ってもらえないか?」という要望を受けることがあります。

 場合によっては鑑定評価に対する報酬額よりもこちらの方がお客様にとっては重要に感じる場合も少なからずあります。

 高めの評価が求められる場合の例としては開発事業の際の金融機関からの融資を引き出す場合、安めの評価が求められる場合の例としては相続財産の評価の場合などです。

 この要望を受けて、かつ作成した評価額について合理的説明が出来ないにもかかわらず鑑定額を大幅に変更したことで鑑定業者と鑑定士の処分の問題にまで発展したのが、有名な「かんぽの宿」のお話です。

 これを受けてお客様から鑑定評価額についてごり押しされた場合の通報制度として現在は依頼者プレッシャー通報制度が適用となっています。

 ちなみに私自身は独立してから、このプレッシャーといって差し支えない様な要望をお客様から受けたことが一度だけあります。その時は相手方の言い分があまりに無理筋だったので、最後は「どうしてもそう仰るなら(作業は結構進んでいましたが)料金は一切入りませんので仕事を辞退させて頂きます」とつっぱねました。幸いにも最後は相手方も納得して下さり、丸く収めることができましたが、ちょっと強面気味の方だったので結構ストレスを感じたのが懐かしい思い出です。

 私のスタンスとしては不動産鑑定士もサービス業なのでお客様の便宜を図るという側面は当然あって然るべきと考えています。一方で専門家として自分が算出した「不動産鑑定評価額」について筋の通った説明をすることが出来ない評価書を作ることは出来ません。何故この価格を出したの?と突っ込まれた場合に「イヤーお客さんから言われてついやっちゃいました」などとはとても言えないですからね。

 要はお客様からの要望があった場合、それがプレッシャーと呼ぶべき強硬な姿勢であろうとなかろうと、その要望を満たしつつ、かつ自分が自信をもって説明できる評価書を作成できるかどうか?という観点から依頼を受諾するか否かを判断するという事になります。

 案件の相談までは無料でお受けしておりますのでいつでもお気軽にお問合せ頂ければと思います。