不動産の鑑定評価って何?(2)必要な場面② 公的な評価について その1
2022/7/21 木曜日
こんにちは、埼玉県で独立自営の不動産鑑定士、矢口真実です。
先日、国税庁が「相続税路線価」を発表したというニュースがありました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE28C7P0Y2A620C2000000/
大抵の方にはあまり馴染みのない話かと思いますが、この「相続税路線価」は、土地の相続や贈与が発生し、税金の計算の為にその土地の評価額を算出する際の基準となる指標で、
年に1回不動産鑑定士が算出しています。(ニュースでは上昇した、下落したと記載されていますが、正しくはそのエリアを担当する不動産鑑定士がその様に「判断した」という表現が正確かと個人的には思っています)
この相続税路線価は以下のサイトで確認できます。
https://www.rosenka.nta.go.jp/
調べたいエリアの都道府県名をクリックして、次ページの上部にある「路線価図」をクリックすると詳細な住所を選択するページに飛び、さらに住所を選択しクリックすると「相続税路線価図」が表示されます。
なお、路線価は市街地に存する土地上に付与されており、郊外に存する土地の場合は「倍率方式」という方法により評価額が算出されます。
相続税路線価図は市街地に存する公道沿いの土地について、この路線に接している土地の㎡単価(坪単価ではありません)はいくらです、という形で表記されています。
例えば、令和4年の私の地元である埼玉県三郷市の中心部である三郷中央駅のロータリーの北側の道路沿いの土地は22万円/㎡、その道路を挟んで対面の土地は16万5千円/㎡であり
これに面積を乗じて、税金を算出する際に利用される土地の評価額が算出されます。

なお、実際の計算では土地の個別性を反映させるための補正が(例えば角地の場合は単価がプラスになり、土地の形が悪くて利用効率が劣る場合は単価がマイナスになります)
されるので、単純に面積を乗じた額が評価額と一致しない場合が多いです。
また、この相続税路線価は概ね「地価公示」価格の80%程度を目安として値付けされているので、相続税路線価÷0.8の計算で地下公示の水準がわかることになりますが、その辺りの話はまた次回に。