不動産の鑑定評価って何?(1)必要な場面① 同族間、親族間の不動産売買
2022/6/25 土曜日
こんにちは、埼玉県で独立自営の不動産鑑定士、矢口真実です。
私が人に「自営業で不動産鑑定やってまして」というと相手の反応は「へーそんな仕事あるんすか、知らなかったです、何ですかそれ?」が90%、「その資格取るの難しいじゃないんですか?」とお世辞を言ってくださるケースが10%ぐらいの印象です。
この様な超マイナーな仕事が、社会的にどんな場面で必要とされるのかという話ですが、ある不動産の価格がいくらなのか?という事を、その不動産に関わる当事者が第三者に対して「この土地と建物の価格が〇〇円だと不動産鑑定士(という一応専門家っぽいヤツが)が言っているから、それは妥当だろう」と主張する必要がある場合なんですね。
具体例として非常に多いのが、金融機関から不動産を担保に融資を引き出すケースで、私自身はサラリーマン鑑定士時代は専らこの類の仕事をメインにやっていました。この場合の「当事者」としては融資の発生を望む人達、物件の所有者、建築計画を目論む事業者、金融機関の融資担当者などで、「第三者」とはその融資が適正か判断する金融機関の決済担当者ということになります。
この「価格の妥当性」を証明するために「不動産鑑定評価書」という書面を作成、発行するのが私たち鑑定士の仕事になります。その書面の作成は「不動産鑑定評価基準」という非常に仰々しい、霞が関文学の集大成の様な文章で書かれた指針がありますが、それに則り、その基準を反映させたフォーマットを使って行われます。価格の証明書である以上、その算出過程にそれなりの「体裁」を整える必要があるという話です。
なお通常の売買の場合は関係当事者である売り手と買い手がお互い納得の上で価格が成立するのが普通で、第三者的な立場の人達が登場することはなく(仲介業者が第三者と言えなくはないかもですが、仲介業者に価格の妥当性を主張する必要などないことが通常かと思います)鑑定評価が求められることは基本的にありません。
ですが、同族間、親族間で不動産の所有権移転を行う際は、そこに「税務署」というツッコミを入れてくる可能性がある第三者が存在します。恐らくこの記事が目に留まった方の中にも税理士先生に勧められて、「税務上有利になりますよ、でも手続きには不動産鑑定書が必要ですよ」と言われてネット検索された経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
当事務所は埼玉県内の案件でなく、リーゾナブルな値段で全国対応させて頂いておりますので、相談(見積もり提案は無料です)はお気軽に頂ければ幸いです。