建築費の高騰と不動産市場(4)
2026/4/26 日曜日
こんにちは。
埼玉県を中心に不動産鑑定を行っております、不動産鑑定士の矢口真実です。
前回のブログでは、一部の購買力が購入した物件の価格が、その地域の「不動産の相場」として認識・形成される傾向がある、という趣旨の話をしました。
不動産は日用品のように頻繁に取引される資産ではなく、市場における価格情報の蓄積が限定的であるため、当然と言えば当然ですが、この傾向が近年顕著にみられるのがマンション市場です。
国土交通省の不動産価格指数では、https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
今年3月末時点の全国平均で2010年の約2.25倍と、戸建の約1.2倍程度という数字とは比較にならない上昇幅となっています。
背景の一つとして、建築費高騰の影響の受け方の違いが挙げられます。
マンションは鉄筋コンクリート造が中心で、資材価格や人件費の上昇が販売価格に相対的に反映されやすい構造があります。
戸建住宅も建築コスト上昇の影響を受けていますが、木造中心で仕様調整の余地が比較的大きく、マンションに比べると価格以外で吸収しやすい面があります。
また、マンションデベロッパーが土地用として駅近など良好な条件の土地をセレクトするため、郊外への展開が可能な戸建住宅とは異なり
土地価格の上昇と建物価格の上昇が同時に作用していると推測します。
さらに、強い購買力を有する富裕層による資産保全、また円安を背景とした海外富裕層によるキャピタルゲイン狙いの購入など、「金融資産」としての側面も含まれており、これらの要因の複合的な作用により、マンション市場の急激な上昇につながっていると思われます。
本来、マンションは居住を目的とした資産であり、そこにキャピタルゲインという発想が入り込むことには、バブル経済期のいわゆる「土地ころがし」のような印象もあり、少し違和感を覚える部分もありますが。。。
しかしながら、現在のマンション市場の上昇は、1980年代のバブル期とはかなり様相が異なる部分があると考えます。
この点については、また次回以降で触れていきたいと思います。
