建築費の高騰と不動産市場(2)
2026/4/03 金曜日
んにちは。
埼玉県を中心に不動産鑑定を行っております、不動産鑑定士の矢口真実です。
前回のブログでは、建築費の高騰が新規供給を抑制する要因として作用している点について触れました。
今回は、その「供給の抑制」が不動産市場にどのような影響を与えるのか、もう少し踏み込んで考えてみたいと思います。
建築費の上昇により新規開発のハードルが高まる中、市場においては既存ストックの価値が見直される局面に入っていると考えられます。
もっとも、その評価は一様ではなく、不動産市場は今後、
「全体として上がる・下がる」といった単純な構図ではなく、
物件ごとの選別がよりシビアに行われる方向へ進んでいく傾向が強まっているように感じます。
従来から、立地の優劣は不動産価値を規定する重要な要素でしたが、これに加えて今後は、
・建物の性能(耐震性・スペック)
・維持管理の状態
・用途変更のしやすさ(汎用性)
といった、いわゆる鑑定評価でいう個別的要因が、これまで以上に評価に影響を与える場面が増えていくものと思われます。
実務の現場においても、同一エリア内であっても評価水準に明確な差が生じるケースが増えており、
「立地が同じであれば価格も似る」という従来の感覚は通用しにくくなりつつあると考えます。
不動産は本来、長期的な視点で捉えるべき資産ですが、こうした供給構造の変化を踏まえると、
「どの不動産を保有するか」という選択の重要性は、今後さらに高まっていくのではないでしょうか。
