各種統計(4)お金の量を表す統計 ②マネーストック
2023/8/08 火曜日
こんにちは、埼玉県で独立自営の不動産鑑定士、矢口真実です。
不動産鑑定では様々な経済指標を参考とすることがあります。
前回の記事でアベノミクスとの関連で日本のお金の供給源である大元の日本銀行が操作可能なお金「マネタリーベース」について書きましたが、今回は「マネーストック」についてのお話です。
この「マネーストック」は以前私が不動産鑑定士の試験を受けるために経済学の勉強をしていた頃は確か「マネーサプライ」という名前じゃなかったっけ?と思い調べてみると2008年6月以降日銀が名称を変更したらしく、ほぼ同義に近いという解釈で問題なさそうです。(細かい部分では計算方法は異なる様子)
マネーストックの正式な定義はこちらに説明があります。なにやら小難しく記載があり、対象とする通貨の範囲に応じて、M1、M2、M3、広義流動性といった4つの指標がありますが、平たくは「経済全体に供給されている通貨の総量」という漠然とした認識、イメージ程度の理解で良いかと考えています
アベノミクスの異次元金融緩和では日銀が国債を購入することで民間金融機関の「日銀当座預金」を増やし、その結果として市中に出回るお金(マネーストック)も増えて景気が活性化するだろうという目論見でした。
(実を言うと私自身はこの理屈が成立する理論的根拠が何なのか、いまだに良く理解できない部分があるのですが)果たして思惑通りにいったのか、見てみましょう。
以下は2005年以降のマネーストック(M3)の推移です。前回の記事で記載した通り、マネタリーベースがアベノミクスが始まった頃131兆円台から現在651兆円台へと500%近い伸び率なのに対し、こちらは1126兆円台から現在1594兆円台40%強の伸び率にとどまっています。
それでも絶対額としては468兆円程度増えているので、その分景気浮揚の効果はあったのでは?という推測も一応は出来ないこともなさそうですが、他の経済指標も合わせて確認することで、その辺りについての検討を次回以降行う事とします。